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介護現場におけるハラスメント対策(2)

はじめに

前回のコラムでは、介護現場におけるハラスメントの定義と背景、そして対策の重要性について解説しました。今回は、具体的なハラスメント対策の基本的な考え方と、施設・事業所が取り組むべき具体的な対策について詳しく見ていきます。組織全体での取り組みや問題の早期発見・対応が求められる中、私たちの社労士事務所が提供するサポートと経験から得た知見も交えながら、効果的なハラスメント対策の実践方法について説明します。【参照元】 厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策

1. ハラスメント対策の基本的な考え方

組織的・総合的に行う

ハラスメント対策は、一部の職員だけでなく、組織全体で取り組むことが重要です。職場全体でハラスメントを許さない環境を作り出し、全職員が対策に協力することが求められます。

初期対応が重要

ハラスメントの初期対応は非常に重要です。問題が発生した場合は、迅速かつ適切に対応し、被害者のケアを行うことが必要です。

要因の分析

ハラスメントが発生する要因を分析し、その根本原因に対策を講じることが必要です。定期的なアンケートや面談を通じて、職場環境や職員の意識を把握し、問題点を明確にすることが重要です。

介護サービスの質の向上に向けた取組

ハラスメント対策は、介護サービスの質の向上にも直結します。職員が安心して働ける環境を整えることで、利用者へのサービスの質も向上します。

問題については施設で共有。一人で抱え込ませないこと

ハラスメント問題は、一人で抱え込まずに、職場全体で共有し、適切な対策を講じることが必要です。職員同士のコミュニケーションを促進し、問題を早期に発見・解決する体制を整えることが重要です。

施設・事業所ですべてを抱え込まないこと

ハラスメント問題が発生した場合、施設や事業所ですべてを抱え込むことは避けるべきです。外部の専門家や公的機関と連携し、適切な支援やアドバイスを受けることで、問題解決を図ることが重要です。

ハラスメントを理由とする契約解除には正当な理由が必要

ハラスメントを理由とする契約解除には「正当な理由」が必要であることを認識することが重要です。ハラスメントが発生した場合でも、法律に基づいた適切な手続きを踏むことが求められます。

2. 施設・事業所が取り組むべき具体的な対策

基本方針の決定・周知

まず、ハラスメント防止の基本方針を明確にし、それを全職員に周知徹底することが重要です。基本方針には、ハラスメントを許さない姿勢や、問題が発生した場合の対応方針を含める必要があります。

マニュアルの作成・共有

ハラスメント防止の具体的な対策をまとめたマニュアルを作成し、全職員に共有します。マニュアルには、ハラスメントの定義、予防策、発生時の対応方法などを明記します。

相談しやすい職場環境づくり

職員がハラスメントについて相談しやすい環境を整えることが重要です。相談窓口の設置や、匿名での相談が可能な体制を整えることで、職員が安心して相談できる環境を作ります。

介護サービスの理解と統一

職員全員が同じ理解と認識を持って介護サービスを提供できるよう、定期的な研修を実施します。ハラスメント防止についても研修に組み込み、全職員が対策に取り組む意識を高めます。

利用者・家族等への周知

利用者やその家族にも、ハラスメント防止の方針や対策を周知することが必要です。説明会やパンフレットを通じて、施設の取り組みを理解してもらい、協力を得ることが重要です。

担当職員の配置・申送り

ハラスメント問題に対応する担当職員を配置し、問題発生時には迅速に対応できる体制を整えます。また、職員間での情報共有を徹底し、申送りの際にもハラスメント対策を考慮することが重要です。

現場の状況を踏まえた対策の実施

具体的な対策を実施し、その効果を定期的に評価します。対策が十分でない場合は、改善策を講じ、継続的に対策を強化していくことが求められます。

苦情に対する適切な対応との連携

ハラスメント問題と他の苦情対応を連携させ、総合的な対応を行うことが重要です。苦情対応の窓口と連携し、迅速かつ適切に問題を解決する体制を整えます。

発生した場合の対応

ハラスメントが発生した場合、職員の安全を第一に、迅速かつ適切な対応が求められます。被害者のケアを最優先に行い、加害者への対処も法的手続きを踏まえて適切に行う必要があります。対応マニュアルを整備し、全職員に周知することが重要です。

管理者等への過度な負担の回避

管理者や担当者に過度な負担がかからないように、ハラスメント対応の体制を整えることが重要です。役割分担やサポート体制を明確にし、管理者が適切に対応できるように支援することが必要です。

PDCAサイクルの考え方を応用した対策等の更新、再発防止策の検討

ハラスメント対策は一度実施して終わりではありません。PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を取り入れ、定期的に対策を見直し、更新することが必要です。再発防止策の検討も継続的に行い、常に最新の対策を講じるよう努めます。

まとめ

今回のコラムでは、具体的なハラスメント対策の基本的な考え方と、施設・事業所が取り組むべき対策について解説しました。ハラスメントのない健全な職場環境を作るためには、組織全体での取り組みが不可欠です。

具体的な対策としては、今回コラムに書いているように基本方針の明確化と周知、マニュアルの作成、相談しやすい環境の整備、定期的な研修の実施などが挙げられます。さらに、ハラスメントを理由とする契約解除には「正当な理由」が必要であることを徹底し、適切な手続きを守ることも重要です。

当事務所では、ハラスメント対策の取り組みが、職員の満足度を高め、離職率を低下させるとともに、利用者へのサービスの質を向上させるために不可欠であると考えています。ハラスメントのない職場環境を作るためには、職員一人一人の理解と協力が必要であり、組織全体での継続的な取り組みが求められます。これにより、健全な職場環境が維持され、利用者に対しても質の高いサービスを提供することができるでしょう。

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