人事・賃金制度
人事制度はなぜ必要か
人事制度は人材活用の大きな糸口に
人事制度は人材活用の大きな糸口です。「ヒト」「モノ」「カネ」と言われる経営資源の中で、最も重要でありながら、もっとも扱いづらいものは「人」だと、多くの経営者様が感じているのではないでしょうか。
どの業界においても、事業の永続的な成長は「人材」にかかっています。そのため、人材をどのように見出し、どのように活用していくかが重要な課題となります。この課題解決の糸口は、「適切な人事制度をつくること」、そして「それを確実に運用していくこと」にあります。
では、人事制度を作るために必要なことは?
とはいえ、公正で納得性の高い人事制度を設計するためには、人件費管理のための会計知識、組織論や人間関係論、また、労働基準法をはじめとする法的知識といった専門知識が必要です。また、効率的かつ効果的な制度設計には、相応の経験も求められます。
ただ、私が最も重要だと考えていることは、事業をよりよくしていこうという強固な意思と、従業員の育成ややる気を高めていこうという「気構え」だと思っています。新しい制度をつくる際には、大きな障害が伴うこともありますが、強い意思がそれを乗り越える力となります。
ご提供します!ノウハウ・知識・そして・・・
当事務所では、様々な業界に対応した人事制度の設計を数多く手掛けてきました。各業界特有の知識やノウハウを活かし、制度設計時に想定される障害、そして不安を、一緒に乗り越えていけるよう、ときには寄り添い、ときには励まし、万全の協力態勢でお手伝いをさせて頂いております。
当事務所では、「人事制度・賃金制度」として、大まかに次の3つの制度構築をお手伝いします。
- 等級制度
- 評価制度
- 賃金制度
等級制度~人事制度の根幹
人事制度の基盤:等級制度の重要性
人事制度改革を考える際、多くの企業が最初に給与制度や評価制度に目を向けがちです。しかし、真に効果的な人事制度を構築するためには、まず等級制度から着手することが重要です。
等級制度とは何か?
等級制度は、従業員の能力、職務、役割に応じて階層を設定し、公平かつ効果的な人材マネジメントを実現するための基盤となる制度です。言い換えれば、等級制度は経営者が従業員に対して描く「期待像」を明確化するものです。
なぜ等級制度から始めるべきなのか?
- 人材イメージの明確化 :評価制度や給与制度を設計する前に、まず「会社が従業員に期待する姿」を明確にする必要があります。これが等級制度の本質です。
- 評価基準の確立 :「頑張った人が報われない」という課題に対して、単に評価制度を導入するだけでは不十分です。何を基準に「頑張り」を評価するのか、その指標を等級制度で定義することが重要です。
- 給与制度の基盤作り: 年功序列から脱却したい場合、何を基準に給与を決定するかを明確にする必要があります。等級制度は、その基準を定める役割を果たします。
- キャリアパスの可視化: 等級制度は、各段階で求められる能力や役割を明確にし、従業員のキャリアパスを可視化します。これにより、従業員の成長意欲を促進します。
主な等級制度の種類
1.職能資格制度:従業員の能力に基づく制度 |
メリット |
・長期的な人材育成に適している |
デメリット |
・能力と実際の業績が乖離する可能性がある |
2.職務等級制度:職務の難易度や責任に基づく制度 |
メリット |
・職務と報酬の関係が明確 |
デメリット |
・職務の変更や昇進の機会が限定される可能性がある |
3.役割等級制度:組織内での役割や責任に基づく制度 |
メリット |
・組織の役割と責任に基づく柔軟な運用が可能 |
デメリット |
・役割の定義や評価が曖昧になる可能性がある |
各制度にはメリットとデメリットがあり、企業の特性や目標に応じて最適な制度を選択または組み合わせることが重要です。
[参考]それぞれの等級制度設計時のアウトプットイメージ
職能資格、職務等級、役割等級、それぞれの制度の定義は、各々が似ている個所もあり、なかなかイメージしづらい部分でもあります。
参考までに「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」設計時の最終アウトプットイメージとして、サンプルをご案内いたします。
職能資格制度 | 職務等級制度 | 役割等級制度 |
※職務記述書については、介護職2等級のものです。職務記述書を作成される際は、「それぞれの”職務”等級すべてを記述」する必要があるため、各等級の全職種の作成が必須になります。 |
上記等級定義書、職務記述書は、150人~200人規模の介護系社会福祉法人事業所の事例です。
当然ですが、ご自身の法人の事業所に合った等級定義書を作成するよう、現場の実情や従業員の役割に合わせたカスタマイズが必要です。オリジナルの定義書を策定することで、組織運営の円滑化や職員のモチベーション向上に繋がりますので、実態に即して、内容を吟味・熟考し、適切な見直しや調整を行うことが重要です。
等級制度設計のポイント
- 経営戦略との整合性:企業の目指す方向性と合致した等級制度を設計する
- 期待像の明確化:各等級で求められる能力、行動、成果を具体的に定義する
- キャリアパスの設計:等級間の昇格基準や必要なスキルを明確にする
- 柔軟性の確保:環境変化に対応できる柔軟な制度設計を心がける
- 公平性と透明性:従業員が納得できる公平で透明性の高い制度を目指す
等級制度の導入効果
- 従業員の成長意欲の向上
- 公平な評価と処遇の実現
- 組織全体の生産性向上
- 戦略的な人材育成の促進
- 経営目標と個人目標の整合性確保
適切な等級制度の設計と導入は、人事制度改革の成功に不可欠です。等級制度を基盤として、評価制度や給与制度を構築することで、一貫性のある効果的な人材マネジメントが可能となります。
企業の規模、業種、文化、そして将来のビジョンを考慮し、最適な等級制度を選択・設計することが、長期的な企業成長と従業員満足度の向上につながります。
評価制度~制度運用の実務上のカナメとなるもの
経営者の想いを伝えるとともに現場の想いも吸い上げる
等級制度で各等級での求められる人材像イメージを踏まえて、各等級における「合格ライン」すなわち評価制度構築していきます。つまり、「上司が部下を評価するしくみ」を決めていくわけです。
評価制度は、従業員の業績や能力を適切に評価し、その結果を処遇や人材育成に反映させるための仕組みです。適切な評価制度は、公平性と納得性を高め、従業員のモチベーション向上と組織の成長につながります。
評価制度の目的
評価制度を設計する目的は一般的には次のように言われています。
1.人材育成の基盤
よく誤解されるのですが、評価制度は単なる「点数づけ」「報酬決定のため」ではありません。適切な評価とフィードバックは、従業員の成長を促す重要な機会となります。
2.公平な処遇の実現
明確な基準に基づく評価により、能力や貢献度に応じた公平な処遇が可能になります。
3.組織目標の達成
個人の目標と組織の目標を連動させることで、全体的な生産性向上につながります。
評価制度で決めるべきこと
評価制度設計の際、まず決めるべきことは、大きく分けて次の3つになります。
- 「誰が誰を評価するか」という「評価者」について
- どの期間についてを評価するのかといった「評価期間」について
- 従業員のどこを評価するのかという「評価項目」について
ここでは、「1 評価者について」「3 評価項目について」を解説いたします。
評価者について~Span of Control(管理の範囲)と評価制度
Span of Controlとは、一人の管理者が効果的に管理・監督できる部下の数を指す概念です。この概念は、評価者と被評価者の設定において重要な役割を果たします。
評価者と被評価者の設定で気をつけるべきポイント:適切なSpan of Controlの維持
理想的なSpan of Control:一般的に、5〜7人程度が適切とされていますが、業界や職種によって異なります。管理(評価)する人数によって以下の課題があります。
課題Ⅰ | 一人の評価者が多すぎる被評価者を担当する場合 |
評価の質の低下 | 一人一人を十分に観察・評価する時間が不足 |
評価の遅延 | 多数の評価を行うため、評価プロセスに時間がかかる |
コミュニケーション不足 | 日常的なフィードバックや指導の機会が減少 |
評価者のストレス増加 | 過度の負担によるモチベーション低下 |
対策 | |
組織構造の見直し | 中間管理職を設置し、Span of Controlを適正化 |
評価補助者の導入 | 直属の上司以外に評価をサポートする役割を設ける |
評価プロセスの簡素化 | 必要最小限の評価項目に絞り、効率化を図る |
ITシステムの活用 | 評価データの入力や分析を自動化し、負担を軽減 |
評価期間の最適化 | 評価頻度を適切に設定し、過度の負担を避ける |
課題Ⅱ | 評価者と被評価者の関係が近すぎるケース |
評価の主観性 | 個人的な関係性が評価に影響を与える |
評価基準の不統一 | 評価者ごとに基準が異なる可能性 |
対策 | |
評価者トレーニング | 評価基準の統一と客観的評価スキルの向上を図る |
評価結果の検証 | 評価結果の分布を分析し、評価者間の偏りを確認 |
多面評価の導入 | 直属の上司以外からも評価を受ける仕組みを取り入れる |
適切なSpan of Controlの設定は、効果的な評価制度の運用に不可欠です。組織の規模、業種、職種、そして企業文化を考慮しながら、最適なバランスを見出すことが重要です。定期的に評価プロセスを見直し、必要に応じて調整を行うことで、より効果的な評価制度を維持することができます。
多段階考課について
多段階考課とは、複数の階層の評価者が順次評価を行う仕組みです。
通常、一次考課、二次考課、三次考課の3段階で構成されますが、組織の規模や構造によっては2段階や4段階以上の場合もあります。
各段階の考課者の役割
段階 | 役割 |
一次考課者 | 通常、直属の上司が担当。 |
二次考課者 | 一次考課者の上司(部門長、課長クラス)が担当。 一次考課結果の妥当性確認と部門内のバランス調整。 |
三次考課者 | 施設長や経営層が担当。 |
多段階考課のメリット
1.評価の公平性と客観性の向上
複数の視点から評価することで、個人的な偏りや主観的判断を軽減できます。
2.評価基準の統一
上位の考課者が調整することで、部門間や評価者間の基準のばらつきを是正できます。
3.組織全体の戦略との整合性確保
経営層が最終評価に関与することで、個人の評価と組織目標の整合性を確保できます。
4.評価者の育成
下位の考課者の評価を上位者が確認することで、評価スキルの向上につながります。
多段階考課の注意点
1.評価の簡略化や形骸化
上位の考課者が下位の評価をそのまま追認するだけになる危険性があります。
2.最終評価決定までの長期化
複数の段階を経るため、評価結果の確定に時間がかかる可能性があります。
3.責任の所在の不明確化
複数の考課者が関与することで、最終的な評価の責任が不明確になる可能性があります。
4.コミュニケーションの複雑化
考課者間の情報共有や認識の擦り合わせが不十分な場合、評価に齟齬が生じる可能性があります。
上記のような問題点を防ぐために、運用のためのポイントとしていくつか挙げさせていただきます。
1.各段階の役割の明確化
各考課者の責任と権限を明確に定義し、重複や抜け落ちを防ぎます。
2.評価基準の統一
全ての考課者が同じ基準で評価できるよう、評価者トレーニングを実施します。
3.考課者間のコミュニケーション促進
必要に応じて考課者間で協議の場を設け、認識の擦り合わせを行います。
4.ITシステムの活用
評価データの共有や集計を効率化し、プロセスの迅速化を図ります。
5.定期的な制度の見直し
多段階考課の効果を検証し、必要に応じて段階数や各考課者の役割を調整します。
多段階考課は、評価の公平性と客観性を高める効果的な方法ですが、組織の規模や文化に応じて適切に設計・運用することが重要です。各段階の考課者の役割を明確にし、評価プロセスの効率化を図りながら、公平で納得性の高い評価制度を構築することが求められます。
多段階考課の規模感
組織規模 | 考課段階 |
小規模 (従業員50人未満) | 2段階考課が一般的 一次考課:直属の上司 二次考課:経営者や人事責任者 |
中規模 (従業員50~300人) | 2段階または3段階考課 一次考課:直属の上司(主任、係長クラス) 二次考課:部門長(部長、課長クラス) 三次考課:施設長や事務長 |
大規模 (従業員300人以上) | 3段階考課が一般的、場合によっては4段階以上 一次考課:直属の上司(主任、係長クラス) 二次考課:部門長(部長、課長クラス) 三次考課:施設長や事務長 最終考課:理事長や経営トップ(4段階以上の場合) |
考慮すべき点
①組織構造との整合性
フラットな組織構造の場合、段階数を少なくする傾向があります。
階層的な組織構造の場合、段階数が多くなる傾向があります。
②業種・業態による違い
製造業など、階層的な組織構造を持つ業種では多段階考課が一般的です。
IT業界やスタートアップなど、フラットな組織構造を持つ業種では段階数が少ない傾向があります。
評価の頻度
年1回の総合評価の場合、多段階考課を採用することが多いです。
四半期や半期ごとの頻繁な評価の場合、段階数を少なくする傾向があります。
管理職の裁量権
管理職に大きな裁量権を与える場合、段階数を少なくする傾向があります。
評価の統一性や公平性を重視する場合、段階数を多くする傾向があります。
評価制度の効率性
評価の迅速性を重視する場合、段階数を少なくする傾向があります。
慎重な評価や組織全体のバランスを重視する場合、段階数を多くする傾向があります。
結論として、多段階考課の規模感は組織の大きさだけでなく、組織構造、業種、評価の目的、頻度、管理職の裁量権、効率性など、多くの要因によって決定されます。
重要なのは、自社の状況や目的に最適な段階数を選択し、効果的な評価システムを構築することです。
また、定期的に評価制度の効果を検証し、必要に応じて段階数や各考課者の役割を見直すことも重要でしょう。組織の成長や変化に合わせて、柔軟に制度を調整していくことが、長期的に効果的な評価制度の運用につながります。
評価項目について
「3 評価項目」については、経営者が各等級の従業員にどういう行動をとってほしいのか、どういった成果をあげてほしいのか等、ここは会社、経営者の「想い」が集約されるものです。
当然、この段階で時間も労力もかかるもので、人事評価制度設計の大きなヤマ場になります。
評価項目の主な要素
1.成果評価(業績評価)
・目標管理制度(MBO)との連動
・定量的・定性的な成果の評価
2.顕在能力評価
・企業の価値観や行動指針に基づく評価
・顕在能力(行動ベースの能力)の評価
・チームワークや協調性の評価
3.潜在能力評価
・職務遂行能力の評価
・潜在能力の把握
評価制度設計のポイント
1.評価基準(合格ライン)の明確化
評価項目と基準(合格ライン)を明確に定義し、従業員に周知することが重要です。
2.評価者トレーニング
公平で適切な評価を行うため、評価者のスキル向上が不可欠です。
3.フィードバックの充実
評価結果を従業員にフィードバックし、今後の成長につなげることが重要です。
評価制度の運用上の注意点
1.目標設定の重要性
「どうすれば、“できた” “達成した”と言えるか、を明確にする」ことが重要です。具体的で測定可能な目標設定が評価の基盤となります。
2.評価基準の統一
評価者によって基準が異なると、公平性が損なわれます。評価基準の統一と評価者間のすり合わせが必要です。
3.コミュニケーションの重視
評価は一方的なものではありません。上司と部下のコミュニケーションを通じて、互いの認識を擦り合わせることが重要です。
4.評価結果の活用
評価結果を単なる数字で終わらせず、処遇や人材育成に適切に反映させることが重要です。
評価制度の課題と対策
課題 | 対策 |
課題1: 評価の主観性 評価者の個人的な好みや印象が評価に影響し、公平性が損なわれる可能性があります | 評価基準の明確化と具体化:抽象的な表現を避け、具体的な行動や成果を基準とします。 評価者トレーニングの実施:定期的なトレーニングを行い、評価スキルの向上と基準の統一を図ります。 評価結果の検証:評価結果の分布を分析し、極端な偏りがないか確認します。 |
課題2: 評価疲れ あまりにも頻繁な制度変更や、多大な評価作業、複雑な評価プロセスだと、評価者・被評価者双方に負担がかかります | 評価項目の適正化:真に必要な項目に絞り、評価の効率化を図ります。 |
課題3: 目標設定の難しさ 適切な難易度や具体性を持つ目標設定は難しく、評価の基準が曖昧になりがちです | 目標設定のガイドライン作成:SMART原則(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)に基づいた目標設定を促します。 評価者研修による目標設定能力向上:目標設定をサポートするためのトレーニングを実施します。 組織目標との連動:部門や会社の目標を踏まえた個人目標の設定を促します。 目標の定期的な見直し:環境変化に応じて柔軟に目標を修正する仕組みを導入します。 |
課題4: 評価結果の受け入れ難さ 従業員側に、評価結果に対する不満や不信感が生じ、モチベーション低下につながる可能性があります | フィードバック面接の充実:評価結果を丁寧に説明し、今後の改善点を明確に伝えます。 評価者研修による評価者の面接能力向上:部下の不満や不信感を傾聴し、うまくコーチングするためのトレーニングを実施します。 評価プロセスの透明性確保:評価の手順や基準を明確に開示し、理解を促進します。 自己評価の活用:被評価者の自己評価と上司の評価を擦り合わせ、認識のギャップを埋めます。 |
課題5: 評価と処遇の連動の適正性 評価結果を昇給や昇格にどのように反映させるべきか、その連動が適正かどうか検討が必要です | 評価と処遇の連動ルールの明確化:評価結果がどのように処遇に反映されるか、明確な基準を設定します。 |
課題6: 評価制度の形骸化 制度は存在するものの、実質的に機能していない状態に陥る可能性があります | 経営層のコミットメント:評価制度の重要性を経営層が率先して発信します。 定期的な制度の見直し:実態に合わなくなった部分を適宜修正し、常に最適な状態を維持します。 評価結果の活用促進:評価結果を人材育成や組織改善に積極的に活用します。 従業員の参画:制度設計や改善プロセスに従業員の意見を取り入れ、納得性を高めます。 |
これらの課題と対策を認識し、自社の状況に応じて適切に対応することが、効果的な評価制度の運用につながります。
また、制度の導入後も継続的なモニタリングと改善を行い、常に最適な状態を維持することが重要です。
評価制度の導入効果
1.従業員の成長意欲の向上
2.公平な処遇の実現
3.組織全体の生産性向上
4.コミュニケーションの活性化
5.人材育成の促進
適切な評価制度の設計と運用は、従業員の成長と組織の発展に大きく寄与します。しかし、形式的な制度導入だけでは十分な効果は得られません。評価の目的を明確にし、公平性と納得性を確保しつつ、継続的な改善を行うことが重要です。
評価制度は、等級制度や報酬制度と密接に連携させることで、より効果的な人材マネジメントが可能となります。自社の状況や目標に合わせて、最適な評価制度を構築し、運用していくことが求められます。
また、一般的には、一般職の従業員を評価するのは直属の上司になることが多く、この評価項目の内容が、「現場感に即したものであるかどうか」が、この制度を上手くレールに乗せて動かすことができるかどうかの鍵となります。あまり理想のみを掲げすぎると、現場とのギャップで失敗することが往々にしてあります。
この評価項目を決める際には、現場感を大切に、現場での役職者などを交え、委員会形式でボトムアップですすめていくと納得感の高い評価制度ができるのではないでしょうか。
賃金制度~給与とは、経営者から従業員に対するメッセージ
総額管理と適正配分という考え方
給与制度設計で重要なポイントは以下の2つだと考えています。
1つ目は、まず、総額人件費で管理するといった視点。
2つ目は、総額人件費内で適正分配する視点
給与制度設計において、いきなり「手当の見直し」や、賃金表設計に手をつけようとしてはいけません。
なぜなら、給与制度設計のスタートラインは給与の支払い能力、つまり「人件費原資ありき」だからです。
どんなに納得性が高く、論理的に間違いのない手当構成や基本給構成を考えたところで、人件費計画を無視して、いきなり賃金設計、手当の構成の検討にはいると、近い将来、人件費が経営を圧迫してしまう可能性が十分に考えられます。
そうならないよう、まずは経年での労働分配率や人件費率を踏まえて、しっかりとした中長期的な人件費計画を立てることが肝要です。
そして、適切に計画立てた人件費総額の中で、適正な分配方法を考えていくわけです。
つまり、人件費計画をしっかりと立てた上で、手当の改廃、基本給構成の見直し(従業員の何に対して給与を支給するのか)、等級間賃金格差適正性等を決めていくのです。
給与制度については人件費管理が必須であるため、経営サイドの裁量が大きな部分です。
また、手当や基本給とった各給与項目は経営者から従業員の方へのメッセージだとも言われています。
ですから、給与制度設計は評価制度とは異なり、トップダウン(経営者層のみの話し合い)で進めていくことが適当かと思われます。
人事・賃金制度構築のスケジュール(正規従業員数およそ100名の規模)
- 基礎調査
- 人件費分析
- アンケート調査等による定性分析
- 問題点把握
- 組織体の見直し
- 経営ビジョンの確認、策定
- ビジョンに沿った人事制度の方針設計
- 等級制度の詳細設計
- 等級定義(期待イメージ、ステージ)、等級数の検討
- 評価制度の詳細設計
- 評価者の設定
- 評価項目、評価基準の設定
- 評価期間の設定
- 賃金制度の詳細設計
- 人件費計画、目標人件費の検討
- 給与体系の構築
- 基本給支給水準設計(賃金表作成)
- 賞与支給基準の設計
- 移行シミュレーション設計
- 昇給ルール設計
- 制度導入時のフォロー
- 制度導入時のシミュレーション作成
- 考課者研修
上記フェーズⅠ~フェーズⅢについてを、人事制度・賃金制度構築としてスポット契約で承っております。
なお、フェーズⅣについては、運用支援として、顧問契約でフォローさせて頂きます。
料金プラン
人事・賃金制度の構築、運用支援に関する詳しい料金についてはこちら
ただいま、特別キャンペーンとして、初回45分間のご相談について、オンライン無料相談を承っております。
人事制度、賃金制度、人事考課制度の構築や運用でお困りの方は、この機会にぜひご活用ください。
※ただし、対象地域は限らせて頂いております。