改正労働契約法3~有期労働契約の無期労働契約への転換その(2)

前回に引き続き、今回も「有期労働契約の無期労働契約への転換」ルールについて、中でも、同じ事業所内で短期の細切れ契約を繰り返すような場合の通算に関するルールについて解説いたします。

1.「契約期間が1年以上」の契約職員の場合

福祉施設で期間を定めて雇用されている職員の方々の多くが「1年契約」での雇用されているように思います。

「無期労働契約転換ルール」において、このような契約期間が1年以上の方々に対して、有期労働契約と有期労働契約の間の期間が6ヵ月以上ある場合は、有期労働契約が反復更新されていないものとして違法とはなりません。(これをクーリング期間といいます。)

これに対して、契約がない期間が6か月未満のときは前後の有期労働契約の期間を通算します(クーリングされません)。その次の有期労働契約の契約期間から、通算契約期間のカウントが再度スタートします。

2.「契約期間が1年未満」の契約職員の場合

「カウントの対象となる有期労働契約の契約期間(2つ以上の有期労働契約があるときは通算した期間)」の区分に応じて、「契約がない期間」がそれぞれ次の表の右欄に掲げる期間に該当するときは、契約期間の通算がリセットされます(クーリングされます)。

 カウントの対象となる
有期労働契約の契約期間
契約がない期間
2か月以下
1か月以上
2か月超~4か月以下
2か月以上
4か月超~6か月以下
3か月以上
6か月超~8か月以下
4か月以上
8か月超~10か月以下
5か月以上
10か月超~  6か月以上

3.「通算」に関する注意点

・通算契約期間は、「同一の使用者」ごとに計算

勤務先の事業場(事業所)が変わった場合でも、同じ事業主の事業場(事業所)間の異動であれば、契約期間は通算されます。
※就業実態が変わらないにもかかわらず、無期転換申込権が発生しないよう意図的に(派遣や請負を装う等)労働契約を形式的に他の事業主に切り替えた場合は、通算契約期間の計算上は「同一の使用者」との労働契約が継続しているものと解されます。

・通算契約期間の計算は、労働契約の存続期間で計算

育児休業などで勤務しなかった期間も、労働契約が続いていれば通算契約期間にカウントされます。

・端数の考え方について

端数ルール1:翌月の応当日(月違いの同日)の前日をもって「1か月」とする

端数ルール2:複数の契約期間について1か月未満の端数がある場合には、その端数どうしを合算した後に、30日をもって1か月に換算(繰り入れ)する

【例】 前の契約 平成25年4月5日~同年7月15日
    次の契約 平成25年8月3日~同年10月1日
    (3か月+11日)+(1か月+29日)
   =4か月+40日
   =5か月+10日 となります。