適正な労務リスクマネジメントについて一緒に考えてみませんか、「人事労務」の専門家が身近にいる安心を感じてください。

「職場のハラスメントに関する実態調査結果」を受けて

はじめに

5月17日、第6回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会が開催され、女性活躍に関する調査結果と職場のハラスメントに関する実態調査結果が示されました。これらの調査結果から、職場におけるハラスメントの深刻さとその影響が改めて浮き彫りになりました。今回はこの検討会の内容を受け、ハラスメントの現状とその影響について詳しく解説します。

ハラスメントの現状

ハラスメントの種類と定義

パワーハラスメント(パワハラ): 職場において行われる、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するもの

セクシュアルハラスメント(セクハラ): 職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害される行為

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント: 職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害される行為

介護休業等に関するハラスメント: 職場において行われる上司・同僚からの言動(介護休業等の利用に関する言動)により、介護休業等の制度を申出・取得した男女労働者の就業環境が害される行為

カスタマーハラスメント(カスハラ): 顧客や取引先からの暴力や悪質なクレームなど、職務遂行に支障をきたす迷惑行為

就活ハラスメント: 就職活動中の学生に対する性的な嫌がらせや不適切な言動


ハラスメントの発生状況

厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、以下のようなデータが報告されています(参照元: 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査報告書)。

過去3年間におけるパワハラの相談件数は64.2%(+16.0%)、セクハラは39.5%(+9.7%)、カスハラは27.9%(+8.4%)と報告されています。
特にカスハラの相談件数は「増加している」と回答した企業が多く、増加傾向が顕著です。

ハラスメントの種類別相談件数の推移

報告書によると、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントなど、各種ハラスメントの相談件数が年々増加していることが示されています。この増加傾向を受けて、多くの企業が対応に取り組んでいます 。

ハラスメントの相談件数が多い業種

特に相談件数が多い業種としては、製造業、医療・福祉業、サービス業などが挙げられます。これらの業種では、ハラスメント防止のための特別な対策も求められています 。

ハラスメントが与える影響

職場環境への影響

ハラスメントは職場の環境に重大な影響を与えます。従業員が安心して働ける環境が失われると、以下のような問題が生じる可能性があります。

モチベーションの低下: ハラスメントを受けた従業員の士気が低下し、生産性が落ちる。
人材の流出: ハラスメントが原因で優秀な人材が離職する。
企業イメージの悪化: 外部にハラスメントの実態が知られると、企業の評判が悪化する。

法的リスク

ハラスメントに対する法的措置が不十分な場合、企業は法的な責任を問われる可能性があります。例えば、セクハラやパワハラに関する訴訟が増加しており、企業の法的リスクも高まっています。

経営への影響

ハラスメントがもたらす経営への影響も無視できません。ハラスメントが発生すると、以下のような経営上の問題が発生する可能性があります。

訴訟費用: ハラスメントに関する訴訟費用や賠償金が発生する。
労働生産性の低下: ハラスメントが原因で労働生産性が低下し、業績に悪影響を及ぼす。

ハラスメント防止のための企業の取り組み

相談窓口の設置と周知

「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、ハラスメント防止のために企業が最も多く実施している取り組みは「相談窓口の設置と周知」であり、約7割以上の企業が実施しています。

ハラスメント防止のための方針の明確化と周知

次に多い取り組みは「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」であり、約6割以上の企業が実施しています。この取り組みにより、従業員全体にハラスメント防止の意識を浸透させることが重要です。

終わりに

今回のコラムでは、職場のハラスメントの現状とその影響についてご紹介しました。ハラスメントのない職場環境を作るために、皆様の事業所でもぜひ積極的な取り組みを始めてみてください。

当社労士事務所では、ハラスメント防止のためのサポートを提供しています。所長は「ハラスメント防止コンサルタント」の資格を持ち、専門的な知識と経験を活かして、職場のハラスメント対策をサポートいたします。

ハラスメント防止コンサルタントとは、21世紀職業財団が2009年度から養成する、ハラスメント教育や事案解決を行うことができる人材のことです。この資格は、専門的な知識を問う試験に合格した者に与えられ、2024年現在、800人以上の認定コンサルタントが活動しています。

私たちの事務所では、これらの専門家による的確なアドバイスと実践的なサポートを提供し、安心して働ける職場環境の実現を目指しています。
ご質問やご相談がありましたら、私たちの社労士事務所までお気軽にお問い合わせください。次回もお楽しみに。

ページの先頭へ