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是正勧告対応

突然、監督官がやってきた!

労働基準監督署の人が「事業所の労務管理についての現状を確認させて下さい」とたずねて来ることがあります。しかも、予告もなく、突然に

このように、ある日突然、監督官がやってきて、調査に入ることを「臨検調査」といいます。(電話連絡やFAXで調査予定日を告げてから訪問してくるケースの方が多いと思いますが)

この「臨検」、原則として拒否することはできません。労働基準監督官は、事業所が労働基準法等に違反していないか、強制的に会社に立ち入り調査する権限を持っているのです

「臨検」とは

「臨検」には大きく分けて次の3つの種類に分類されます。

  1. 定期的に実施する定期監督
  2. 申告をキッカケとして実施する申告監督(いわゆる内部告発)
  3. 労災が発生した場合、その原因究明等のために実施する災害監督

臨検は、書類改ざんの恐れがあるような場合には、抜き打ち的に実施されることもありますし、サービス残業の実態を把握するために、夜間に調査が行われることもあります。

「臨検」で何を見られるの?

たとえば「サービス残業調査」の場合は、「タイムカード」や「自己申告書に書かれた終業時刻」と「パソコンのオンオフの履歴」、これらを細かくチェックされます。
時間外手当支払の有無だけでなく、実態調査のため、従業員個別にヒアリングが行われる場合もあります。
これ以外にも、各種労使協定(三六協定など)の作成、届出、従業員健康診断実施の有無など、さまざまな内容についての調査が行われます。

監督署の調査にはどう対応するのか?

まず、 「臨検」にあたっての書類の準備。

基本的には、事前にそろえるべき書類について連絡があります。

しかしながら、労働基準監督署の調査には、様々な準備が必要になり、その後の対応も含めて多大な時間を要します。

「是正勧告」

臨検でとくに問題がなければいいのですが、仮にここで違反が認められると、「是正勧告」が行われます。「是正勧告」は通常「是正勧告書」を経営者に交付されることによって行われます。

この「勧告書」は、臨検のときに労働基準監督官が、違反していると判断した事項を記入して、是正するようにと記されている書類です。また、労基法違反でないものの、改善が必要な事項については「指導票」として交付されることもあります。

この勧告書をもらった場合、事業主には、「どのように改善すべきか」といった改善姿勢も問われます。そしてその上で、どのように改善するのか、といった「改善報告書」といった報告書の提出も義務付けられています。

もし残業代未払いで是正勧告を受けると・・・

残業代未払いによる是正勧告が企業に与える影響についてご存知でしょうか?近年、労働基準監督署からの是正勧告が増加しており、その影響は甚大です。

金銭的な負担

是正勧告を受けると、過去に遡って未払い残業代を支払う義務が生じます。
例えば、令和6年3月、高知県内の病院では、約8,300万円の未払い残業代を支払うことになりました。また、同年4月には静岡県の大学でも、是正勧告を受けた結果、約5,900万円の未払い賃金の支払いを命じられています。ほかにも、山陰地方の福祉施設では、令和5年3月から6月にかけて医師や看護師などの残業代として約2,100万円を未払いしたことが報じられています。

労働環境の悪化

未払い残業代が問題となると、従業員の士気や労働環境が悪化するリスクもあります。
令和6年4月、東京の福祉施設では、未払い残業代が発覚し、職員に対して約1,000万円の未払い賃金を支払うことになりました。こういった場合、従業員の不満が高まり、離職率が上昇することも考えられます。

企業イメージの低下

是正勧告を受けた企業は、従業員や取引先からの信頼を失い、企業イメージが低下するリスクがあります。
例えば、ある企業では、未払い残業代問題が公になり、業界内での信用が大きく揺らぎました。この結果、優秀な人材の採用や維持にも悪影響が及び、経営全体に負の連鎖が生じることもあります。

これらの事例からもわかるように、未払い残業代が発覚した場合、企業には多大な金銭的負担や法的リスクが伴います。また、是正勧告を受けた企業は、従業員や取引先からの信頼を失い、企業イメージが低下するリスクも避けられません。

介護事業所に対しては...

介護事業者において労働基準法を遵守することは、ますます重要になっています。平成24年4月の介護保険法改正により、労働基準法などに違反した介護事業者はその指定を取り消される可能性があると明記されました。

実際のところ、労働基準法違反が直ちに罰金刑や指定取り消しに繋がることは考えにくいですが、介護保険法にこのような内容が明記されたことは、介護事業者にとって重く受け止めるべきでしょう。この背景には、介護事業所に対する労務管理上の経営体質の改善が求められていることがあるのかもしれません。

この法改正に伴い、介護事業者に対する労働基準監督署の監督指導も強化されています。特に、「令和5年度地方労働行政運営方針」においても以下のように記されています。

⑤ 特定の労働分野における労働条件確保対策の推進
外国人労働者、自動車運転者、障害者である労働者及び介護労働者の法定労働条件を確保するため、関係機関とも連携し、労働基準関係法令の周知等を図るとともに、労働基準関係法令違反の疑いがある事業場に対する監督指導などを実施する。
(「令和5年度地方労働行政運営方針」より抜粋)

このように、労働基準監督署の調査は年々強化されている印象もあり、小規模の介護サービス事業所においても厳格な監督指導が実施される傾向にあるように感じます。

いま、突然の調査が入っても大丈夫ですか?

このように、いつ入るかわからない「臨検」調査。

そして、その臨検調査を発端とした是正勧告。

この臨検調査や是正勧告適切に対応するためには、労基法や安全衛生法といった労働法についての専門的知識、そして是正勧告へどう対応していくべきかその手順や方策を経験した実績が必要です。

当事務所では、労働法の専門家として、アドバイスも交えつつ、必要な手続きを洗い出し改善スケジュールをたて、適切な対応をいたします。

もし、すでに調査の連絡が入っていればすぐにでも、また、何か不安があるという場合でも、お気軽にご相談ください。

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