採用|採用面接で、応募者の家族構成や思想について質問してもよいですか?
採用面接で応募者の家族構成や思想について質問することは、厚生労働省の公的ガイドライン等で「応募者の基本的人権を尊重し、職務遂行能力と直接関係のない事項を尋ねてはならない」と明確に禁止されています。
公的ガイドライン・禁止事項
厚生労働省「公正な採用選考の基本」や「採用選考時に配慮すべき事項」では、応募者の適性・能力以外の情報を面接等で把握することに就職差別のリスクがあるとされています。特に次の事項は把握すること自体が不適切とされます。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地・家族の職業や続柄・収入・宗教等
- 本来自由であるべき事項:思想・信条・支持政党・宗教・人生観・尊敬する人物・労組加入状況など
「就職差別につながる恐れのある14事項」として、家族状況や思想・信条関連の質問が明確に列挙されています。
職業安定法、男女雇用機会均等法でも、採用基準が合理的・差別のないものであることが求められています。
裁判例・実務指針
判例(三菱樹脂事件・最大判昭和48年12月12日)は「企業に雇用選択の自由がある」としながらも、公的ガイドラインや社会通念上、応募者の思想・宗教・信条に直接触れる質問や、家族構成を問うことは、現代の公正な採用選考の理念とは相容れません。
例えば医療・福祉の職場で夜勤など勤務条件確認を行いたい場合も、家族状況への踏み込んだ質問ではなく、「夜勤・シフト勤務は可能か」といった業務に直接関係する内容に絞るべきです。
まとめ
採用選考は、あくまで「その職務を遂行できる能力や適性があるか」を判断する場です。本人の適性・能力に関係のない以下のような事項を質問することは、就職差別につながるおそれがあるため避けるべきです。
本人に責任のない事項:
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、収入、宗教など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、持家か賃貸かなど)
本来自由であるべき事項:
- 思想・信条、宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 労働組合への加入状況など
適切な採用面接の進め方や質問内容について、社会保険労務士が具体的にアドバイスいたします。