労働契約|登録ヘルパーは「業務委託契約」で問題ありませんか?「雇用契約」との違いは何ですか?

登録ヘルパーに「業務委託契約」を用いる場合でも、実質的に「指揮命令関係」が認められれば、形式に関わらず「雇用契約」と判断されるのが判例・行政ガイドライン上の原則です。偽装請負と判断されれば労基法等の全ての労働関係法令が適用され、違法と見なされるリスクが極めて高いです。

判例・ガイドライン解説

厚労省「労働者派遣事業と請負事業の区分基準」(昭和61年労働省告示37号・平成24年厚生労働省告示518号)では、「業務内容や就業の指揮命令権が事業所側にある」「他人による代替性がない」「業務の進め方・時間・場所など具体的な指示がなされる」などの場合、外形上が業務委託でも労働契約とみなされると明示されています。

「福生ふれあいの友事件」(労判1137号、東京地裁立川支部 平成26年2月14日)等でも、訪問介護の現場で事業所による業務指示・依頼拒否の困難さ等の実態から「雇用関係」を認定、ヘルパーへの労基法上の保護を及ぼすべきとされました。

介護現場においては、契約形式が業務委託であっても、実質的に事業所が訪問先や業務時間・内容について具体的に指示・管理し、勤務態様に一定の制限や拘束がある場合には、労働契約としての指揮命令関係が認められ、雇用関係と判断されることが多いです。判例や厚生労働省の指導においても、こうした実態重視の判断が確立されています。たとえば、利用者へのサービス内容・時間管理が事業所側で行われている場合など、形式的には業務委託契約であっても、実態に則り雇用契約として扱うケースが多数見られます。

雇用関係と判断される要素

  • 業務の依頼を断ることができない
  • 業務の進め方について具体的な指示がある
  • 勤務場所や勤務時間が指定されている
  • 他の人に代わってもらうことができない

訪問介護の現場では、事業所が利用者様へのサービス内容や時間を管理・指示するのが通常であり、実態として雇用関係にあると見なされることがほとんどです。

実務上の注意点

「業務委託」とすることで残業代の支払いや社会保険の加入義務を免れようとするのは脱法行為で許されることではありません。労働基準監督署の調査等で「偽装請負」と判断された場合、過去に遡って未払い賃金の支払いを命じられるなど、重いペナルティを科される可能性があります。

ヘルパーの働き方は多様化していますが、契約形態の判断には専門知識が必要です。事業所の運用が法的に問題ないか、社会保険労務士が実態をヒアリングした上で適切に診断・アドバイスいたします。

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