採用|募集時に提示した給与や労働条件を、採用後に変更することはできますか?

ハローワークの求人票や求人サイトの募集要項は、法律上「労働契約の申込みの誘引」とされています。つまり、「この条件で募集しています」という案内であり、それ自体が契約ではありません。
しかし、応募者はその条件を前提に応募してくるため、異なる条件で契約する場合は、その旨を明確に説明し、本人の同意を得る必要があります。
説明なく当初の募集内容と異なる条件で雇用契約書にサインさせた場合、後から「話が違う」と訴えられれば、募集時の条件が有効と判断される可能性があります。

判例・公的指針のポイント

上記の通り、求人票や求人広告は「労働契約の申込みの誘引」とされ、最終的な労働条件は双方の合意で決まります。求人票の条件が最終契約条件になるとは限らず、合理的な事情があれば変更可能と判断した裁判例もあります(八洲測量事件、千代田工業事件など)。

しかし、求人票記載の給与額が著しく下回る変更など、労働者に重大な不利益がある場合は信義則違反となり、損害賠償請求を受けるリスクがあります。

労働条件の変更は、「労働契約法」第8条で原則合意が必要とされています。特に給与など重要な条件の不利益変更では具体的な説明と書面での同意取得が重要です。

2024年4月の法改正により、求人票や労働条件通知書には「従事すべき業務の変更の範囲」などの記載が新たに求められており、変更の可能性を明示することが重要とされています。

実務上の注意点

  • 募集時と異なる条件で契約する場合、必ず本人に十分説明し、納得した上で同意を得ること。
  • 労働条件通知書や雇用契約書には、実際の条件を正確に記載し、正式に交付すること。
  • やむを得ず募集時の条件から変更が生じた場合は、必ず採用決定前に丁寧に説明し、理解を得ること。

最終的な労働条件は「労働条件通知書」または「雇用契約書」に正確に記載し、交付することが法律で義務付けられています。

労働条件の明示は労務管理の基本であり、最も重要な部分です。雇用契約書の作成や労働条件の変更に関するご相談は、事業所の実情に合わせてアドバイスできる社会保険労務士にお任せください。

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