休職・メンタルヘルス|復職後の短時間勤務は、どのくらい認めるべきですか?
復職直後の短時間勤務については、主治医の意見書や産業医の判断に従うのが原則です。
たとえば「1日4時間」「週3日」など、医師が指示する勤務量に合わせる必要があります。
また、安全配慮義務(労働契約法第5条)の観点からも、無理な通常勤務への復帰を強いることはできません。
注意点
- 「時短勤務は1か月まで」といった一律ルールは避けたほうが無難です。
- 医師と連携した段階的復帰(ステップ型のリワークプログラム)も検討対象に。
- 時短期間中の賃金支払いルール(例:日給制・時給制の切替など)は、事前に本人と明確に合意しておく必要があります。
裁判例:うつ病等で休職した社員の復職後の短時間勤務について
復職後の短時間勤務や業務軽減の配慮が求められる傾向
- うつ病等で休職した社員が復職する際、短時間勤務や業務内容の軽減などの配慮を会社が行わなかった場合、解雇や退職勧奨が違法とされるケースがあります
【裁判例】うつ病で休職後に復職した社員が再度体調を崩した際、会社が十分な配慮をせずに退職勧奨を行ったことについて、裁判所は会社側の対応の違法性を認めた(京都地裁平成26年2月27日判決など)
- うつ病等で休職した社員が復職する際、短時間勤務や業務内容の軽減などの配慮を会社が行わなかった場合、解雇や退職勧奨が違法とされるケースがあります
短時間勤務や段階的復職を認めることの必要性
復職直後からフルタイム勤務を求めるのではなく、短時間勤務やリハビリ勤務(慣らし出勤)を経て段階的に通常勤務へ戻すことが、再発防止や適応のために重要とされています
復職後の業務内容や勤務時間の調整義務
裁判例では、本人の健康状態や主治医の意見を踏まえ、勤務時間や業務内容の調整を行うことが企業に求められるとされています
厚生労働省の主なガイドライン・手引き
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
- 厚労省が公表しているこの手引きは、うつ病等で休業した労働者の復職支援の流れや、復職後の短時間勤務・業務軽減の具体例を示しています
- 復職の際は、主治医の診断書提出、産業医や職場との面談、リハビリ勤務(試し出勤)を経て、段階的に通常勤務へ戻すことが推奨されています
短時間勤務等の具体的配慮例
厚労省の手引きや関連資料では、復職後の配慮例として以下が挙げられています
- 短時間勤務(例:最初は午前中のみ、徐々に勤務時間を延長)
- 軽作業や定型業務への従事
- 残業・深夜業務の禁止
- 出張や交替勤務の制限
復職後のフォローアップ
復職後も産業医や管理監督者による継続的な観察と支援、職場復帰支援プランの評価・見直しが重要とされている
実務上の注意点・ガイドラインの運用
短時間勤務の期間設定
企業によっては短時間勤務の期間を「最長3ヶ月」などと定めるケースがあるが、期間設定には合理性と個別の事情への配慮が必要
一律に短期間で通常勤務に戻すことを強制すると、再発リスクや違法と判断されるリスクがあるため、柔軟な運用が求められます
就業規則の整備
復職後の短時間勤務やリハビリ勤務に関する規定を就業規則に明記し、主治医や産業医の意見を踏まえて運用することが推奨されています