年次有給休暇|「前日に突然」年休を申請されました。拒否できますか?

基本的には、年次有給休暇の取得は労働者の権利であり、「いつ取るか」についても尊重されるべきです。
しかし、業務に支障が出る場合には、「時季変更権」の行使により、別の日への変更を求めることができます。

ただし、時季変更権は無制限に認められるものではなく、客観的な理由や証拠(他の職員の勤務状況など)が必要です。

一歩間違えば「年休の権利侵害」とされてしまうため、慎重な対応と社内体制の整備が求められます。

時季変更権が無効となった裁判例

  1. 弘前電報電話局事件(最高裁昭和62年7月10日判決)
    シフト表で最低配置人員が定められていた日勤勤務において、労働者が年休を申請したにもかかわらず、上司が「現地集会への参加など違法行為の恐れ」を理由に、代替勤務を申し出ていた職員の申出を撤回させ、結果的に「必要な最低人員を欠く」として時季変更権を行使しました。
    しかし、裁判所は「通常の配慮をすれば勤務割を変更し代替勤務者を配置することが容易に可能だった」こと、「休暇の利用目的いかんで配慮をしなかった」ことを理由に、時季変更権の行使を無効と判断しました。
  2. JR東海年休事件(名古屋高裁令和5年3月16日判決)
    恒常的な要員不足を理由にした時季変更権の行使は、労基法39条5項ただし書の「事業の正常な運営を妨げる場合」には当たらず、そのような時季変更権の行使は許されないと明確に判示されています。
    無効な時季変更権の行使によって年休が取得できなかった場合、使用者は債務不履行責任を負うことになるともされています

時季変更権の行使が有効かどうか、その判断が難しいと感じたら、ぜひ専門家にご相談ください。

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