「令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」とは?(第3回)|「Q&A(第1版)」が発出されました

令和8年1月21日付で、厚生労働省老健局老人保健課より「介護保険最新情報 Vol.1462 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」が発出されました。

この事業は、令和7年度補正予算に基づく重要な施策であり、賃上げや職場環境の改善をどのように進め、補助金を受け取るかについての実務的な指針となります。
特に、基準月の扱いや対象経費の範囲(特にPC購入などがNGである点など)は、申請実務において判断に迷う部分でした。

今回のQ&Aでは、それらの疑問点がクリアになっています。事務担当者様や施設長様は、必ず目を通しておいてください。以下に、公表されたQ&Aの全容を掲載します。自事業所のケースと照らし合わせながらご確認ください。

【参考資料】介護保険最新情報vol.1462「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」
【参考資料】介護保険最新情報vol.1462 ”令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業 実施要綱”

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)

【実施要綱6(1)から(3)までについて】

Q1 介護サービス事業所等からの計画書及び実績報告書の提出受付開始時期・提出期限はいつか。

A1 いつから受付が始まり、いつが締め切りになるかは、お住まいの都道府県ごとに決まります 。それぞれの地域のスケジュールを確認し、適切に対応してください

 

Q2 補助額により賃金改善や職場環境改善を行う場合、いつまでに行う必要があるのか。

A2 令和8年3月末までに補助金が振り込まれた場合は、令和7年12月から令和8年3月末までの間に賃上げや環境改善を行ってください
令和8年4月以降に振り込まれた場合は、令和7年12月から実績報告書の提出期限までに行う必要があります

なお、この補助金は「緊急支援」ですので、可能な限り早めに賃上げを実施してください

 

Q3 本事業の対象となる介護サービス事業所等の整理及び対象事業所等が基準月を選択するに当たっての考え方如何。

A3 原則として、令和7年12月にサービスを提供している事業所が対象で、補助額の計算の元となる「基準月」も令和7年12月となります 。 ただし、以下のような例外もあります。

大規模改修や感染症の影響で12月の報酬が極端に低かった場合や、請求が遅れた場合は、事業所の判断で令和7年12月〜令和8年3月のいずれかの月を基準月に選べます
令和8年1月〜3月に新しくオープンした事業所も対象です。この場合は、原則として「初めてサービスを提供した月」を基準月としますが、その月の稼働日数が少なければ、3月までの別の月を選んでも構いません

なお、これらの理由で基準月を変更する場合、都道府県への事由の届け出は不要です 。各都道府県の実施要綱もあわせて確認してください

 

Q4 月遅れ請求、再請求等に伴う過誤調整分については、いつまでに生じ、いつまでに審査支払機関により受理されたものについて反映されるのか。

A4 都道府県によってスケジュールが異なるため、各自治体の実施要綱を確認してください

 

Q5 要件の審査に当たって、計画書や実績報告書での誓約や対応の報告以外に別の資料の添付や確認等を求めるのか。

A5 申請時に一律で資料を提出する必要はありません ただし、都道府県から求められた場合にはすぐに出せるよう、根拠となる資料を2年間保存しておいてください

  • 要件1:基準月において、処遇改善加算を算定していること(根拠資料の例:基準月を含む処遇改善加算の計画書)
  • 要件2:実績報告書の提出までに処遇改善加算を算定していること(根拠資料の例:実績報告書の提出月を含む処遇改善加算の計画書)
  • 要件3:処遇改善加算Ⅳの算定に準ずる要件を満たしていること(根拠資料の例:任用要件・賃金体系の整備については、就業規則等の根拠規定。研修の実施については研修計画等、職場環境等要件については、取組の実施を証明する資料)
  • 要件4:基準月において、ケアプランデータ連携システムに加入していること(根拠資料の例:使用画面のスクリーンショット(撮影時点がわかる形で撮影されたものに限る。))
  • 要件5:実績報告書の提出までにケアプランデータ連携システムに加入していること(根拠資料の例:同上)
  • 要件6:基準月において、介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉連携推進法人に所属していること(根拠資料の例:社会福祉連携推進認定を受けるに当たって提出し、受理された社会福祉連携推進認定申請書)
  • 要件7:基準月において、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること(根拠資料の例:体制届出)
  • 要件8:実績報告書の提出までに、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること(根拠資料の例:体制届出)
  • 要件9:令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業による補助金の交付を受けていること(根拠資料の例:令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業の実績報告書)

 

Q6 法人本部の人事、事業部等で働く者など、介護に従事していない職員について、補助額に基づく賃金改善や職場環境改善の対象に含めることは可能か。

A6 法人本部の職員であっても、補助金の対象となっている介護事業所の業務を行っていると判断できる場合は、対象に含めることができます 。一方、補助金の対象外となっている事業所の職員は、この補助金で賃上げを行うことはできません。

 

Q7 法定福利費等の事業主負担の増加分は、賃金改善に含めてよいか。

A7 はい、含められます。賃上げによって増える「社会保険料などの会社負担分(法定福利費)」も、補助金の使い道として認められます

 

Q8 本事業における補助対象経費は、賃金改善経費と職場環境改善等経費の2種類があるが、国保連が交付事業所等に対し補助額を通知する際は、補助額の総額のみが示される。本事業においては、実績報告書の提出の際に、「賃金改善の所要額」が、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」以上となっていることを確認する必要があるが、介護サービス事業所等及び都道府県において、どのように「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値を確認するのか。

A8 事務負担を減らすため、以下の計算式で出た金額を「賃金改善に使うべき最低額」として確認します

  • 計算式:受け取った補助金額 ×(賃金改善分の交付率 ÷ 全体の交付率) ※1円未満は四捨五入します。

なお、各サービスにおける交付率と、そのうち賃金改善経費分の交付率については、実施要綱別紙1表1から表3までに記載されているとおりです。上記方法により算出された「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値が、別紙様式3-2の「①+②(賃金改善経費分)」の欄に表示されます。

 

Q9 「厚生労働省がケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステム」とは、どのシステムのことか。

A9 国に認められた以下のシステムを指します

  • カナミッククラウドサービス(株式会社カナミックネットワーク)
  • ケアプランデータ連携サービス(株式会社富士通四国インフォテック)
  • 「でん伝虫」データ連携サービス(株式会社コンダクト)

最新の認定状況については、ホームページ(※)にてご確認してください。
※ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44833.html

【実施要綱6(1)①、6(2)①及び6(3)について】

Q 10 医療・介護サービスどちらも提供している訪問看護ステーションについて、医療分野の賃上げ支援補助金と本補助金の双方を申請することは可能ということか。

A10 その通り、両方の申請が可能です

 

Q 11 「介護従事者」の対象範囲如何。

A11 対象は介護現場で働く幅広い職種(※)を指すことになります。
※ 介護職、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員(看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師等)、精神保健福祉士、介護支援専門員、計画作成担当者、社会福祉士、生活相談員・支援相談員、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、調理員、その他の事務職等が想定されます。

 

Q 12 地域包括支援センターは本補助金の対象になるか。

A12 そのセンターの設置者が「介護予防支援事業者」の指定を受けていれば、対象になります

【実施要綱6(1)③及び6(2)③について】

Q 13 補助対象経費として「研修費」とあるが、どの範囲までを「研修費」として取り扱って良いのか。

A13 「研修にかかった費用」と明確に分けられるものであれば、幅広く対象になります ただし、法令で義務付けられている研修などで、職場環境の改善という趣旨から外れるものは、この補助金を当てるのは適切ではありません

 

Q 14 補助対象経費の使途として「介護助手等の募集経費」とあるが、どのような経費が対象となるのか。

A14 求人広告費、チラシの印刷代のほか、人材紹介会社への手数料も対象になります ただし、あくまで「介護助手等」の募集にかかる経費に限られます

 

Q 15 職場環境改善経費について、介護助手等を募集するための経費や研修費以外に、どういった経費が対象経費として含まれるのか。

A15  基本は「募集経費」と「研修費」ですが、以下の取り組みにかかる費用(専門家への謝礼や会議費など)にも使えます

  • 現場の課題の「見える化」(業務の棚卸しなど)
  • 業務改善の体制づくり(委員会の立ち上げなど)
  • 役割分担の見直し(介護助手の活用など)

※ただし、パソコンなどの機器購入費用には使えません

 

Q 16 職場環境改善経費については、通知において、「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費(介護テクノロジー等の機器購入費用)に充当することはできない。」とされているが、介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費であるか否かに関わらず、介護テクノロジー等の機器購入費用に充当することはできないということか。

A16 その通りです。他の補助金の対象かどうかに関わらず、この補助金で機器を買うことはできません

 

Q 17 職場環境改善経費として、PC 端末等の購入にかかる経費は対象経費に含まれるか。

A17 含まれません 。今回の職場環境改善の枠組みは、PCやタブレットといったハードウェアの購入を想定していないため、対象経費としては認められません

【その他】

Q 18 本補助金の債権譲渡に係る考え方如何。

A18 この補助金は「全額を賃上げか環境改善に使うこと」がルールのシステムですので、債権譲渡(ファクタリングなど)には馴染みません 債権譲渡を行っている事業所については、譲渡されていない別の口座や、法人の口座に直接振り込む形をとります

 

Q 19 法人単位での申請は可能か。

A19 はい、同じ都道府県内にある事業所であれば、法人単位でまとめて申請できます 。ただし、都道府県ごとにルールや振込先の指定方法が異なるため、必ず都道府県ごとの計画書を使用してください

 

Q 20 休廃止を予定している介護サービス事業所等について、本交付金の対象となるか。

A20 計画書を出す時点で、すでに休止や廃止が決まっている事業所は対象外です もし申請後にやむを得ず休廃止することになった場合は、すぐに都道府県に届け出てください

 

Q 21 Q 20において、「事業計画書の提出時点で休廃止することが明らかになっている介護サービス事業所等については、本補助金の交付対象外とする」とあり、通知において、令和8年4月以降に新規開設された介護サービス事業所等は対象外とあるが、介護サービス事業所等の合併又は別法人による事業の承継の場合において、廃止前の介護サービス事業所等として補助金を申請し、新規に指定を受けた介護サービス事業所等において補助金を活用することは可能か。また、補助金の申請後に地域密着型所型から通常型などへのサービス種類の変更を行った場合、変更後の介護サービス事業所等において補助金を活用することは可能か。

A21 職員の顔ぶれが変わらないなど、「実態として継続して運営されている」と認められる場合は可能です 。その際は、都道府県に変更届を出してください

 

Q 22 計画書において、③部分の補助金の使途について、「職場環境改善経費への充当」のみ選択していた場合であっても、その後の実施状況において「賃金改善の実施」 を行った場合、実績報告においては「C 職場環境改善の所要額((ア)~(ウ) の合計)」に加えて「B 賃金改善の所要額」に③部分の補助額を記載して報告をすることは可能か。

A22 はい、可能です 。計画書の提出後に「やっぱり環境改善じゃなくて賃上げに使おう」と変更した場合でも、計画書の出し直しは不要です。実績報告書で正しく報告してください

Q 23 本事業に加え、重点支援地方交付金による中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備事業を活用することは可能か。

 

A23 全く同じ費用に対して複数の補助を受けることはできませんが、組み合わせて使うことは可能です (例:この補助金にさらに地方交付金を上乗せして賃上げする、など)

当事務所の見解

いかがでしたでしょうか。かなりのボリュームでしたが、実務上、特に注意すべきポイントがいくつか見えてきました。

  1. 職種や組織の枠を超えた「幅広い還元」が可能:
    今回の補助金は、いわゆる現場の「介護職」だけのものではありません。対象となる「介護従事者」には、医師や看護師、リハビリ職だけでなく、調理員や事務職員まで幅広く含まれることが明記されました 。さらに、地域包括支援センターについても、設置者が介護予防支援事業者の指定を受けていれば対象となります 。これまで処遇改善の枠組みから外れがちだったスタッフも含め、法人全体でのモチベーション向上に繋げられる点は非常に大きなメリットです。
  2. 職場環境改善経費の制限:
    ここは誤解が多い部分ですが、PCやタブレット等の「機器購入費用」は対象外と明記されました(問17)。また、人材紹介手数料は対象になりますが、「介護助手等の募集」に限られる点も要注意です(Q14)。
  3. 証拠書類の保存:
    一律の提出は不要ですが、「根拠資料の2年間保存」は義務です。問5にあるスクリーンショットや計画書は、必ず今のうちに整理しておきましょう。

この補助金は「緊急支援」という性質上、可能な限り速やかな賃金改善が求められています。 ご不明な点や、自法人のケースで迷われることがあれば、お早めに当事務所、または厚生労働省のコールセンター(050-3733-0222)までお問い合わせください。

皆さまの事業所の環境改善が一歩進むよう、全力でサポートいたします。

【参考資料】介護保険最新情報vol.1462「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」
【参考資料】介護保険最新情報vol.1462 ”令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業 実施要綱”

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