2040年に向けた介護・医療事業の未来戦略|厚生労働省中間とりまとめを読み解く

"2040年──それはまだ先の話だと思っていませんか?"

いま目の前にある業務に追われているうちに、気づけば準備不足で大きな波に直面するかもしれません。そんな未来に向け、厚生労働省老健局は2025年4月21日、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会における中間とりまとめを発表しました。

本コラムでは、その中間とりまとめの内容を社会保険労務士の視点で整理し、医療・介護施設、中小企業の経営者・人事担当者に向けて今後の対応の参考となるポイントを紹介します。

2040年問題とは何か

日本は、65歳以上人口のピークと、85歳以上人口の急増という未曾有の時代を迎えます。一方で、生産年齢人口は減少。結果として、介護・医療の需要と供給のバランスが大きく変化していくことが予想されています。

この課題に対して、中間とりまとめでは、地域ごとの実情に応じた対応策が求められるとしています。

地域ごとに異なる課題と戦略

  • 中山間・人口減少地域:供給維持のための事業者連携やICT活用の推進

  • 大都市部:急増する需要に対応すべく、民間活力とテクノロジーを活用した基盤整備

  • 一般市等:増減する需要を見据えた柔軟な体制構築

地域特性を踏まえた対応が必要であり、これらに応じた政策展開が求められています。

職場環境と働き方改革|人材確保に向けた取組

働き方改革は、現場の人材を確保し、定着させるために不可欠なテーマです。

ハラスメント対策と職場環境改善

利用者や家族からのカスタマーハラスメント対策を含めたハラスメント防止が、安心して働ける環境づくりに直結します。また、働きやすい環境を整えることで、離職率低下にも寄与することが期待されています。

柔軟な勤務体系とキャリアパス形成

有給休暇取得の促進、短時間正社員制度、育児・介護休業からの復帰支援といった施策により、職員の多様なライフステージに対応する体制づくりが重要です。さらに、認知症ケア専門職や管理者へのキャリアパスを明確にし、成長意欲を高める仕組みが求められています。

介護現場へのICT・AI導入|未来を見据えた支援体制

業務の効率化とサービス品質向上

見守りセンサーや介護記録ソフトの導入により、業務の効率化とケアの質の向上を同時に実現することが目指されています。テクノロジーは単なる負担軽減ではなく、職員と利用者が向き合う時間を増やすための支援ツールと位置付けられています。

生成AIの活用

中間とりまとめでは、生成AIを活用した文書作成支援の可能性にも言及されています。

"計画書やサービス担当者会議の議事録などを生成AIの技術で原案作成し、業務効率化を図る"(中間とりまとめより引用)

ケアプラン作成支援や科学的介護(LIFE)との連携を含め、今後は生成AIが現場業務を支える重要な役割を果たすことが期待されています。

小規模事業所への支援強化

ワンストップ型相談窓口の整備や機器貸出支援など、小規模事業所でもICT・AI導入を進められるよう、国や自治体による支援が拡充される方針です。早期からの準備が、今後の競争力維持に繋がるとされています。

当事務所の視点

本中間とりまとめは、2040年に向けた政策の方向性を示すものであり、すぐに全てを実行に移す必要があるわけではありません。しかし、方向性を理解し、できるところから着実に準備を進めることが、今後の安定経営に繋がります。

当事務所では、介護・医療・福祉分野に特化した社会保険労務士として、労務管理働き方改革支援ハラスメント防止対策など、多方面からご支援いたします。

2040年は必ず訪れます。今できる小さな備えが、5年後、10年後の大きな差を生み出します。

「どこから始めればいいかわからない」──そんな時こそ、専門家の力を借りることが最も賢明な選択です。

まずは一度、当事務所までご相談ください。貴施設・貴事業所の未来を共に描くパートナーとして、全力でサポートいたします。

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【参考リンク】厚生労働省老健局 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」
【参考資料】2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ

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