1か月単位の変形労働時間制

本来、労働基準法では、1週間の労働時間として40時間を超えたり、1日の労働時間8時間を超えたりしてはならないことになっています。
しかし、特別養護老人ホームなどでは、シフト勤務のため1週間の労働時間が40時間を超える週があったり、夜勤体制のため、一日の労働時間が8時間を超えたりするような場合もあるかと思います。
こういった場合、1か月単位の変形労働時間制を採用することで、1か月の総労働時間を平均して1週間40時間を超えなければ、労働時間がある週に40時間を超えて労働させたり、特定の日に8時間を超えて労働をさせたりすることが可能になります。

1か月単位の変形労働時間制を採用するには、労使協定又は就業規則に以下の要件を定める必要があります。
 

1.変形労働時間を採用する旨の定め

2.変形期間の起算日
例えば、「変形期間は毎月1日から月末までとする」などの定め

3.変形期間を1か月以内とする定め

4.労働日、労働時間の特定
変形期間での各日・各週の労働時間を具体的に定めておく必要があります。
単に「所定労働時間は8時間とする」という定めではなく、始業・終業の時刻も具体的に定め、かつこれを職員に周知することが必要です。

5.変形期間の所定労働時間
変形期間の労働時間を平均して1週間の労働時間は法定労働時間を超えないこととされています。


なお、労使協定によって変形労働時間を採用した場合でも、労働基準法第89条の規定に基づき、就業規則への記載が必要です。
就業規則の作成義務のない常時10人未満の使用者であっても、変形労働時間をとるときは、その旨を労働者に周知させる必要があります。(労働基準法施行規則第12条)